2015年2月 茅ヶ崎 

 

2月24日(火)  くもり 

 

    今年の冬は寒暖の差が大きいが、この日は雲が多いながら風もなく暖かく、まずまずの散策日和である。池袋駅に集まったのは常連の9名である。

 

    板橋駅で人身事故があったため山手線、埼京線、湘南新宿ラインが一時運転見合わせをするというトラブルもあったが、10分ほど遅れただけで10時半ころ茅ヶ崎駅に到着した。南口のロータリーから海岸に向かう通りは「雄三通り」という。この通りをしばらく歩き、左折すると住宅街になる。なんとなく湘南らしい明るさを感じさせる住宅街である。看板の案内に従って右折すると「氷室椿庭園」に着いた。茅ヶ崎駅から約15分である。

 

      

         雄三通り               民家の庭に咲くミモザの花

 

    「氷室椿庭園」は、三井不動産の元副社長である氷室氏夫妻の庭園が茅ケ崎に寄贈され、平成3年に一般に開放された。2800uの庭園に椿、バラ、松などの庭木が1300本も植えられている。この時期は椿が見ごろである。入口から左手に園路を辿ってゆくと見事な椿の木々が見えてきた。椿の種類は250種もあるそうで、今咲いているのはそのうちの3分の1くらい、まだ蕾のものが多い。3月中旬になればもっと咲いていると思われるが、今でも十分に見ごたえがある。

 

        

 

   

 

   

     

    氷室椿庭園から250mほど歩くと松林を抜けて国道134号に出た。海岸沿いの松林の中を真っ直ぐに伸びる道路で、ここを走る車は気持よさそうである。西へ向かって900mほど歩き、サザンビーチちがさきで砂浜に降りた。そこには茅ケ崎の頭文字『C』を象ったモニュメントが立っている。Cの文字の切れ目の部分に立つと1つの円になることから「縁結びの輪」とも呼ばれているそうである。サザンオールスターズのCDジャケットにも使われて有名になったという。

ここから西には富士山、東には江ノ島、正面にはえぼし岩と伊豆大島が見えるというが、曇っているので富士山と伊豆大島は全く見えず、江の島が霞んで見えた。えぼし岩は海岸から1.4qにあるのでよく見えた。

       

    サザンビーチちがさきにて  逆光になるので『C』の裏側からの写真となった

 

    砂浜には鵠沼から茅ヶ崎市柳島まで8.4qのサイクリングロードが通っている。この道を西へ向かって歩く。春の日差しが暖かく、コートやセーターを脱いでシャツ1枚で十分である。海は穏やかであるが打ち寄せる波の音が心地よく聞こえてくる。海には大勢のサーファーが波と戯れていた。平日だというのに、ざっと数えたところ30〜50人位のサーファーがいた。サイクリングロードの脇にはサーフボードを乗せる金具のついた自転車が何台も止めてあった。

 

★ 柳島には網元料理の店が多い。そのうちの一つ、『快飛』(かっとび)という店に入って昼食とした。ちょうど昼時でかなりのお客さんで混み合っていたが、幸い12人が座れる大きなテーブルの席が空いていてそこへ案内された。店の自慢は地元で採れた新鮮な魚料理である。ただし3月上旬まではしらすは禁漁期間なので、生しらす料理は食べられなかった。

生ビールで喉を潤しながら待つうちに注文した海鮮丼、天ぷら御膳が運ばれてきた。まずその量に一同びっくり、刺身や天ぷらの旨さに二度びっくり。「うまい、うまい」を連発しがら話がはずんだ。食事と生ビールで2000円以下で済んだので皆大満足であった。

 

    

        海鮮丼                    天ぷら御膳

     快飛を出て茅ヶ崎西浜高校の角を左折し、「鉄砲道」との交差点を右折して駅方面に向かう。約900mほど行くと高砂通りと出会い、ここを左折すると高砂緑地である。

ここは新派俳優の川上音二郎と貞奴夫妻の別荘だったところで、のちに日本化薬会長の原安三郎氏が音二郎の別荘を含む広大な土地を購入して、『松籟荘』と名付けた。その後茅ヶ崎市が購入して『高砂緑地』として整備して一般に公開した。松林の中に茅ヶ崎市美術館や茶室「松籟荘」がある。

南の入口から入るとすぐ川上音二郎と貞奴のモニュメントがある。数本の松の木の幹に自転車の車輪と赤い風船を括りつけた飾り付けがあった。美術館のイベントのための特別な飾り付けだそうである。緩やかな坂を登ってゆくと、道の両側から満開の梅の香りが漂ってくる。紅梅の紅がことさら鮮やかである。美術館はモダンな明るい建物である。

       

        

    川上音二郎・貞奴のモニュメント       車輪と赤い風船の飾り付け

 

               

高砂緑地の紅梅

 

     美術館の左手の階段を降りると茶室「松籟荘」がある。その庭一面に梅が植えてあり、今を盛りと咲いている。池には沢山の亀がいて、岩の上で甲羅干しをしている。まるで彫像のように動かないが、ときどき首を動かすので生きていると分かる。その動かない亀をじっと飽かず眺めていると時間が止まったようである。長閑な春の午後であった。 また園内には平塚らいてうの「元始、女性は太陽であった」の碑と八木重吉の詩碑「蟲」もある。

    

    平塚らいてうの碑             八木重吉の詩碑

                                   

    高砂緑地から駅までは10分とかからない。午後3時ころ茅ヶ崎駅に戻ってきた。

 

俳句クラブ会員の俳句です

 

甲羅干し春の水面に親子亀         志賀 勉

 

甲羅干す亀啼くふりをしていたり          松谷富彦

 

サーフィンの浜にしてかつ若布採る        松尾良久

 

参加者  金児利行、金子正男、小島恕雄、佐野信男、志賀勉、比留間房子、 

松尾良久、松谷富彦、中村仁美、  以上9名

 

写真と文 小島、比留間

 

 

散策の会へ